#14 森から離れてしまった「暮らし」
私が暮らしている長野県富士見町は、八ヶ岳南麓にあり、まちの約7割を森林が占めています。その多くは、針葉樹であるカラマツを主体とする人工林。戦後に植えたカラマツは収穫期を迎えたものの、伐採をしてもさほど値段がつかないと聞きました。まちに1軒だけ残っていた製材屋も、廃業してしまったいま、森林や林業に、何が起きているのでしょうか。
日本は世界有数の森林国
そもそも日本は、国土の約7割が森林に覆われた世界有数の森林国で、古くから森の恩恵を受けながら暮らしてきました。森林から資源としての木材や、きのこといった林産物をいただくだけでなく、森林には土砂災害を防ぐための保全機能や、渇水や洪水を緩和しながら良質な水を育む機能、生物多様性を保全するなど、私たちが暮らしていくために欠かせない機能を果たしてくれています。
けれども、現在では価格の安い外国産材(輸入材)に押されて、国産材の需要が低下し、日本の林業が低迷していることは、周知の事実ですよね。その結果、手入れがされない森林は荒廃し、