#20 地球温暖化が進む今、「海藻」に期待されていること
二酸化炭素の吸収は、熱帯雨林よりも海藻類のほうが約2倍以上の効果があることを、ご存知でしたか?なかでも、コンブは地球上の光合成をする生物のうち、最も高い能力を持っているのだとか。森林の「グリーンカーボン」に対して、海の「ブルーカーボン」として、さまざまなプロジェクトが始まっています。
光合成によってCO2を吸収する海藻類
古くから私たちの食卓で親しまれてきた海藻類。二酸化炭素の吸収というと、誰でも森林をイメージするかもしれませんが、海藻類はCO2の吸収能力が非常に優れていることがわかっています。
海藻とひと口に言っても、たくさんの種類がありますね。ワカメやコンブ、モズク、ヒジキ、テングサなど。海藻には食物繊維や、マグネシウム、ヨウ素、カルシウム、鉄、亜鉛といったミネラルが多く含まれ、体の健康を保つ上で大切なはたらきをする食べ物として知られています。
これらの海藻類には、共通する特徴があります。それは、太陽光線の届きにくい海中で生息するため、光をよく吸収できるように陸上の植物にない独自の色素をもっているということです。そうか、海藻類は植物だったのか、と思う人もいるかもしれませんが、この独自の色素が、CO2の吸収能力の高さにつながっている、というわけです。
光合成に必要な、太陽の光が届く深さは、70~80mぐらいまでであると言われていますが、地球の酸素の約3分の2は、この「ブルーカーボン」と言われる海の浅いところに住む植物プランクトンや海藻による光合成でつくられているのだとか。森林より海藻のほうがたくさんCO2を吸収し、酸素をつくっているのです。
海水温の上昇でいま、起きていること
海藻が育つ場所のことを「藻場」といいますが、藻場はCO2の吸収という側面だけでなく、多くの水生生物の生活を支え、産卵や幼稚仔魚に成育の場を提供したり、水中の有機物を分解し、酸素を供給するなど海水の浄化に大きな役割を果たしています。