#12 脱炭素化?南北問題?「COP27」から見えてきたこと
COPとは、「国連気候変動枠組条約の締約国会議」のこと。2022年11月にエジプトで開催されたCOP27では、地球温暖化を防ぐ枠組みについて、約200か国の代表が集まって、どんな議論が行われたのでしょうか。今回は合意のポイントと、考えるべきことをまとめました。
COP27の焦点をおさらい
ニュースレター「neutral」#07でも触れたのですが、昨秋のCOP26では、「グラスゴー気候合意」が採択されました。これは、パリ協定で定めた「平均気温の上昇を2度より充分低く保ち、できれば1.5度に抑える努力を追求する」という「2度目標」では不十分という見方が強くなったことから、「2100年の世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度以内に抑える」ことを明確に掲げた、というものです。
COP27の開催国がエジプトということもあり、気候変動における最悪な影響を受けているアフリカを中心に、途上国が受けている損失、損害に向けた支援がさらに推進されることを期待する声が挙がっていたのが今回の会議でした。
議長国となったエジプトが掲げた5つの優先課題は、
・「適応」を着実に実現していくこと
・「損失と損害」への具体的な行動を起こすこと
・「資金」の流れを現実のものとすること
・円滑で「公正な移行」を進めること
・「気候行動を絶えず前進」させていくこと
と強調していました。
「シャルム・エル・シェイク実行計画」の採択
「損失と損害」に対する補償が大きな論点となったCOP27ですが、「シャルム・エル・シェイク実行計画」には、気候変動の悪影響に対して脆弱(ぜいじゃく)な途上国を支援するための基金の設立が盛り込まれたのがポイントです。